☑️マンションの維持が経済的に厳しくなった時に使えるリースバックってどんなものなの?
☑️現金を得ながら家に住み続けられるってホント?
☑️怪しくないの?
☑️トラブルや注意点は何?
☑リースバック以外の選択肢はあるの?
急な経済的困窮や老後資金の不安、相続の際の資産問題等の解決策として「リースバック」という手法があります。
手持ちのマンションを現金化しながら、現在のマンションに住み続けられる事は大きなメリットです。
ただお得な反面デメリットや注意点、思わぬトラブル等もあります。
この記事では、リースバックの特徴をご紹介と一緒に、そのほかのマンションを現金化する選択肢もご紹介していきます。
様々な選択肢の中からベターな手法を見つけられる事のお役に立てれば幸いです。
マンションのリースバックとは?
リースバックとは、自宅であるマンションを買取りしてもらい売却金額を得られるのと同時に、売却した家を借りて継続して住むことが出来るシステムです。
- 経済的事情からまとまったお金が必要になってしまった
- 住宅ローンを支払い続ける事に不安を感じてきている
- 相続の際に不動産資産の分割で揉めるのを少なくしたい
- 老後のための資金を少しでも確保しておきたい
このような悩みがあるが、現在の住み慣れたマンションには住み続けたいという希望に対応できるため利用が増えてきています。
どのようなシステムなのか、メリット・デメリットから解説してきます。
マンションリースバックのメリット
マンションのリースバックには次のようなメリットがあります。
- 現金を早期に得られる
- 売却後もマンションに住み続けられる
- マンションの維持費がなくなる
- 将来、買い戻しも可能である
- 周囲に売却したことを知られずに済む
現金を早期に得られる
リースバックを活用するメリットの一つは、マンション売却で早期に現金を得られるところです。
一般的にマンションを売却しようとすると、買い手が見つかって売却が完了して現金が手に入るまで数カ月必要になります。
また、買い手が見つからないときには売却期間がさらに長くなってしまいます。
しかし、リースバックは業者が直接買取をするため、現金を得るまでの時間が短くて済みます。
※通常のマンション売却にはどれぐらい掛かるかを知りたい方はこちらの記事をご参考にしてください。
参考記事 マンション売却までの平均期間は3~4か月?
売却後もマンションに住み続けられる
リースバックの一番のメリットは、売却した後も住み慣れたマンションに住み続けることができることです。
通常の売却の場合には、売買契約が成立したらマンションを明け渡し、住む場所を引っ越ししなければなりません。
しかし、リースバックはマンションを売却と同時に賃貸借契約を結びます。
マンションの所有権は無くなりますが、引っ越しで住まいを変える必要も無く、通勤通学や生活圏も今と変わらず過ごすことができます。
マンションの維持費がなくなる
リースバックを利用するとマンションを売却して所有権は無くなるため、マンションを維持するための費用は無くなります。
固定資産税や都市計画税たマンションの管理費・修繕積立金の支払いもなくなります。
また、売却の際には住宅ローンを一括返済する為、月々の住宅ローン返済もなくなります。
将来、買戻しも可能である
リースバックの中には「買戻し特約」をつけられる場合もあり、マンションを買い戻すことも可能です。
一時的に資金が必要になりマンションを手放してしまうが、資金が確保出来たらまたマンションを所有したいという事も可能になります。
また、自分の子供がマンションを買い戻したいという希望にも添えることができる可能性があります。
周囲に売却したことを知られずに済む
リースバックでは、同じマンションにそのまま住み続けられるのと同時に、売却活動をすることが無い為、周囲にはマンションを売却したことは知られずに済みます。
通常のマンション売却だと、売却活動をしていることを周囲に知られる事もあり、様々な事情を詮索されてしまうかもしれません。
マンションリースバックのデメリット
現金を早期に得られて住み続けられる大きなメリットがあるリースバックですが、逆にデメリットもあるため活用には理解が必要です。
- 売却価格は相場より低くなる場合が多い
- 家賃が発生し、金額も相場より高めが多い
- リース期間に制限があることが多い
- 修繕費は借主負担が多い
- 買戻しの時には、売却時より高くなる可能性がある
売却価格は相場より低くなる場合が多い
リースバックでは、売却価格は相場より低くなる場合が多くなります。
なぜならリースバック業者も投資目的でのマンションを運用する考えで買取をするため、利益を得るために通常の売却よりも安い金額で買取をすることになります。
業者による査定は様々ですが、通常の売却に比べて2~3割程度低くなる事を想定しておくのが良いでしょう。
大幅に相場より低い金額で損しないためにも、大体の売却相場も把握しておいて、比較検討することをおすすめします。
※マンション売却の相場の調べ方を知りたい方は、こちらの記事もご参考にしてください。
参考記事 マンション売却の相場は?
家賃が発生し、金額も相場より高めが多い
リースバックは、マンションの売却後に賃貸借契約を結ぶため、家賃の支払いが発生します。
さらにリースバックを利用した家賃の金額は、周辺の家賃相場よりも高めに設定されている場合が多いです。
なぜならリースバックの家賃設定は、周辺の相場から算出されるのではなく、買取価格の回収に対する利回りから算出される為、周辺よりも高めになってしまう事が多いようです。
リース期間に制限があることが多い
リースバックで賃貸借契約を結ぶ際に、リース期間に制限がある事が多くあります。
なぜなら、『定期借家契約』での契約を業者が提示する場合が多く、契約満了後も再契約が出来るとは限らないからです。
再契約が出来ない場合には、マンションを明け渡さなければいけません。
賃貸借契約の際に『普通借家契約』が選べるかどうか、また、契約期間を把握した上でのリースバックの活用をすることが大切です。
修繕費は借主負担が多い
リースバックの場合、通常の賃貸借契約と違って修繕費が借主負担になっている場合が多いです。
なぜなら、リースバックで所有権は移るものの施設等の破損に関しては住み続けている借主に起因することが多いためです。
修繕や退去の時の原状回復の際トラブルにならないように、契約をよく確認しておく必要があります。
買戻しの時には、売却時より高くなる可能性がある
将来買戻しを考えている方は、買戻しの時には売却時よりも価格が高く設定される可能性があることを理解しておく必要があります。
なぜなら、リースバック業者も当然のことながら仕入れ値に対して利益を含めた価格設定で売り出しを行います。
そのため、売却時よりも安く売られることはまずあり得ません。
目安としては、売却時の1.2~1.4倍程度にはなるとみておきましょう。
リースバックの起こりえるトラブル
リースバックは、経済的な危機に対して救済的な手段ではあるものの、思わぬトラブルも発生しているようです。
ここでは、リースバックで起こりえるトラブルをご紹介していきます。
- 家賃が引き上げられた
- マンションが売却されてオーナーが急に変わった
- 買戻しが出来なかった
- 修繕の際の負担でもめた
- 相続の時にトラブルになった
- 定期借地契約の再契約が出来なかった
- 退去の時に高額な請求をされた
家賃が引き上げられた
リースバックは、周辺の家賃相場に比べると高めに設定されているにも関わらず、定期借地契約の更新の際に家賃引き上げの通告を受けるケースも多くあります。
純粋な賃貸目的よりも投資目的の意図が強い傾向にあるため、マンション価格上昇で資産価値が上がると売却も視野に入れて利益を考えるからです。
契約を検討する際に、家賃が固定の業者を選択するのか、引き上げられるリスクを考慮の上で業者を選び必要があります。
マンションが売却されオーナーが急に変わった
リースバックでマンションを所有した業者が、物件を売却してオーナーが急に変わるケースもあり得ます。
物件の所有者は移っているため、利益目的の為にマンションを売却するのも業者が自由におこなうが出来ます。
借主側は新しいオーナーと契約を結ぶことになりますが、リースバック当初の契約と異なる契約を提示される場合もあり注意が必要となります。
買戻しが出来なかった
買戻しを視野に入れてリースバックをしたにも関わらず、買戻しができないトラブルも発生しています。
リースバック当初の買戻し金額より、資産価値が上がって買戻し金額が高騰して手が出なかったり、より高い金額を提示する買主が現れて買戻しをしてくれなかったりとのケースもあります。
買戻しに関しても、契約の際によく確認したうえでリースバックを選択するのがよいでしょう。
相続の時にトラブルになった
マンションをリースバックで売却したことを親族も知らずに、相続の時にトラブルになるケースもあります。
リースバックはマンションを売却したことを周りに知られないのと同様に、そのまま住み続けているので親族にも伝えなければ気づかない可能性があります。
相続時に実は資産が売却されていたと発覚すると、それだけでも色々と物議を醸します。
リースバックを活用する際には、親族には相談の上で行うことをおすすめします。
定期借地契約の再契約が出来なかった
リースバック売却後の賃貸契約を「定期借家契約」で結んでしまい、契約満了時に再契約をしてもらえずに住む場所を追い出されるトラブルも発生してしまいます。
普通借家契約であれば、契約期間満了後の更新時に貸主からの一方的な契約解除は出来ず、家賃値上げも正当な理由が無いと実施できません。
それに対して定期借家契約では、契約期間が終わったら借主が明け渡すことが前提の契約の為、貸主が同意しないと契約更新をして住み続けられる事は出来ません。
契約内容の確認と理解をしたうえで、リースバックを利用するのが重要でしょう。
退去の時に高額な請求をされた
リースバックの契約終了後に退去する際に、修繕や原状回復の費用でトラブルになるケースも発生しています。
所有マンションに売却後も住み続けるため、施設の不具合や傷や汚れの修繕個所は借主側に起因する事が多いため、退去時に多くの負担を請求される可能性もあります。
退去を余儀なくされたときの事も考えて、契約内容を確認しておく必要があります。
リースバックのトラブルは意外と多いのですね
売却代金も得られて住み続けられる事は、とても魅力的な内容ではありますが、仕組みはよく理解する必要がありますね。
リースバックで失敗しないためのポイントもお伝えしておきます。
リースバックで失敗しないポイント
経済的事情からリースバックの利用を検討すると、目先の価格だけで意思決定をしてしまいがちですが、失敗したいためのポイントを押さえてよく検討する事が大切です。
- 契約内容をよく確認して理解しておく
- マンションの適正価格を把握しておく
- 信頼できるリースバック業者に依頼する
- リースバック後の資金計画を綿密に立てる
契約内容をよく確認して理解しておく
リースバックで失敗しないためには、契約内容をよく確認して理解しておくことが大切です。
特に、一般的にある賃貸や売買契約とは違う部分もあり、その部分がトラブルの元になっている事が多いです。
特に、「普通借家契約」「定期借家契約」の違いや、修繕費用や退去時の現状回復の契約は十分な確認が必要です。
そのほかに、途中解約方法や買戻しに関する契約も確認しておきましょう。
マンションの適正価格を把握しておく
マンションの適正価格を把握しておくことも、リースバックで失敗しない大切なポイントです。
リースバックは便利な仕組みである一方で、価格だけ見ると割高になってしまうことが多いです。
余りにも売却価格が低くなったり、家賃が高額になったりするようでは、経済的負担が増加してしまいます。
マンションの相場価格や売却価格、また、賃貸での家賃とも比較検討して利用をするのが望ましいです。
信頼できるリースバック業者に依頼する
前章でもご紹介した通り、リースバックでのトラブルは主に業者との間に起こることが多いです。
信頼できる業者に依頼し、親身に相談に乗ってもらえることで、リースバックの成功だけでなくその後の生活の満足まで得られることになります。
信頼できるリースバック業者を見つけるためには、複数の業者をよく比較検討する事も大切です。
リースバック後の資金計画を綿密に立てる
リースバックでは、マンションを売却した後も賃貸として契約が続いていきます。
その為、その後の資金計画についても綿密に考えておくことが大切です。
売却で一時的に大きな資金を手にすることになりますが、月々の家賃負担も考えて計画するようにしましょう。
リースバック以外の選択肢は?
これまで経済的な事情の一手としてリースバックをご紹介してきましたが、リースバック以外にもマンションを活用した資金の調達方法があります。
- リバースモーゲージ
- 不動産担保ローン
リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、マンションを担保として資金を調達し、そのまま自宅に住み続ける仕組みです。
融資してもらった資金は毎月返済の必要がありますが、リバースモーゲージでは利息分の返済のみの事が多いです。
残りの金額は、マンション所有者の死亡時、もしは契約っ期間終了時に一括返済する、もしくはマンションを売却して返済する事になります。
また、リバースモーゲージの利用の際には、資金用途が限定されてしまうこのが多いのも特徴です。
不動産担保ローン
不動産担保ローンは、所有しているマンションを担保にして資金を融資してもらう制度です。
融資してもらった資金の用途に制限はありませんが、返済ができなくなった時には担保とていたマンションを差し押さえられ強制的に売却をされてしまいます。
まとめ
この記事では、マンションのリースバックについて解説してきました。
- リースバックは、マンションを売却し現金を手にした後も、同じマンションに住み続けられる仕組みであること
- 経済的事情等に対応できるリースバックではあるが、デメリット・トラブルの元になることも多いこと
- リースバックの仕組みをよく理解して利用を検討するのが賢明であること
- その他の住み続けられる選択肢(リバースモーゲージ・担保ローン)や通常売却と賃貸への引っ越しも含めて比較検討したうえで、ベターな選択肢を取ることが、今後の生活へも影響を与えること
この記事が、皆様の不動産活用のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、有難うございました。
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